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住宅規模の全排水に対応した小規模分散型水循環システムを開発ー生物処理を加えた亜寒帯利用の実証に成功

PRESS RELEASE

WOTA株式会社(代表取締役・前田瑶介、以下「WOTA(ウォータ)」)は、自社技術を活用し生物処理を追加した「住宅規模の全排水再生循環利用に対応した小規模分散型水循環システム(以下、「本システム」)」を新たに開発し、亜寒帯での実証(以下、「本実証」)に成功したことをお知らせします。今後は製品開発フェーズへと移行し、日本及び海外での水問題の解決を目指します。

■概要

(1) 本システムの特徴

・既存のWOTA製品で用いている膜処理及び殺菌処理に加え、微生物に有機物を分解させる生物処理を追加し、独自開発の水処理自律制御システムを用いた自律制御を実施。
・WHO基準の細菌・ウイルス除去率での水安全を維持した上で、雑排水だけでなく全ての生活排水の再生に対応。同時にランニング・コストを低減。(※)
※当社実験環境下での評価

これまでWOTAでは、上下水道のような大規模インフラに頼らず、各建物単位での排水の再生・循環利用を可能にする「小規模分散型水循環システム」の確立に向けた研究開発に取り組んでまいりました。その中で、近年は膜処理及び殺菌処理を主とした製品として「WOTA BOX」「WOSH」を販売しており、これらの保守を通して「小規模分散型水循環システム」の運用データを蓄積し、コスト低減とオペレーション検証を進めてまいりました。

一方で上記と並行して、用途拡大とコスト低減を目的に、上記に加えて生物処理を追加し、排水を欠かさず回収して生物処理・膜処理・殺菌処理によって再生し、安全に循環利用することができる本システムの開発を行っており、国内複数箇所でのフィールド実験を実施してまいりました。

本システムにより、特に用途拡大に関して、水の中の不純物のうち有機物を微生物に分解させることで、し尿等の有機物を多く含む排水の再生を可能にし、同時に膜処理における膜への負荷を軽減することが可能となります。

小規模分散型水循環システムの概念図

(2) 本実証の概要

本システムを導入した長野県軽井沢町の個人別宅

・長野県軽井沢町の個人別宅の新築時に本システムを導入し、実際の水利用に伴う水処理負荷(日本の一般住宅において4人家族が日常的な水利用をした場合と同程度)をかけ、本システムの基本動作、性能等を検証。
・新たに導入した生物処理が苦手とする亜寒帯(※)での冬季利用における生物処理効率への影響や、効率維持のためのランニング・コストを検証。
※ケッペンの気候区分において、軽井沢町は亜寒帯湿潤気候(Dfb)に所属

一般に、生物処理においては、水温が低くなると微生物の活性や濃度、処理効率の維持に不利となります。これまでのフィールド実験は、温帯での実施に限られており、寒冷地では実施できておりませんでした。そのため、本実証の目的は、最低気温が摂氏マイナス10度程度となる冬季の長野県軽井沢町(亜寒帯)において、日本の一般住宅における様々な質・量の生活排水を処理した際の本システムの有効性を検証することでした。

冬季における本物件の様子
本物件の内部の様子

■ 本システムの可能性

本実証の成功により、本システムが温帯だけでなく亜寒帯においても、一般的な生活排水の再生利用に貢献することができる可能性が示されました。地球の人口の約69.5%は温帯から亜寒帯に居住しており、本システムは国内外において広範囲で活用できる可能性があります。

また、現在の本システムは、実際の水利用における安全性・利用性を実現しており、コストにおいても地域によっては既に既存ソリューションよりも安くなっています。世界の水不足が顕著な地域をはじめ、国内でも過疎地域や島嶼地域など、本システムが今後様々な地域において活用いただけるように、プロジェクト及び製品化を推進して参ります。

当社における小規模分散型水循環プロジェクトはこちらをご覧ください

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