持続可能な水インフラを、次の世代へ 『Water 2040 Fund -分散型水循環システム導入ファンド-』始動 7月8日(火)より全国自治体向けエントリー受付開始
―「骨太方針2025」に明記された“上下水道の分散型システムの早期実用化”の実現へ ―
WOTA株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役 兼 CEO:前田瑶介、以下「WOTA」)は、全国の自治体を対象に、分散型水循環システムの導入を包括的に支援する『Water 2040 Fund – 分散型水循環システム導入ファンド -』の創設を発表しました。人口減少や管路老朽化が同時に進む中、上下水道の維持・更新の構造的課題に直面する自治体に対し、本ファンドは、分散型システム導入運用に必要な計画策定、ファイナンス、運用管理までの一連のプロセスを中長期的にご支援することで、持続可能でレジリエントな水インフラの構築を後押しします。その技術手段の一つとして、WOTAが開発する家庭用水循環システム「WOTA Unit(ウォータ・ユニット)」を活用して参ります。
近年の上下水道インフラをめぐる課題は、過疎地域や山間部・島嶼地域などを中心に深刻化しており、水道管更新の遅延や老朽化した管路の破損や漏水、財政赤字といった問題が顕在化し、料金の値上げやサービス縮小などの判断を迫られる自治体が増えています。そうした状況を背景に、政府は、2025年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2025~『今日より明日はよくなる』と実感できる社会へ~」(骨太方針2025)において、「上下水道の分散型システムの早期実用化」と明記し、持続可能な水インフラへの構造転換に向けた方針が示されています。
本ファンドは、こうした政策的な潮流と自治体現場の課題を接続し、持続可能な水インフラへの転換を具体的に後押しするものです。WOTAがこれまで培ってきた分散型水循環システムの技術・運用経験を基盤に、関係金融機関・地域企業と連携し、初期投資の平準化、導入計画の立案支援、実装後の運用体制構築までを一体的にサポートします。WOTAは、本ファンドを活用した分散型水循環システムの導入のサポートを希望する自治体を対象に、2025年7月8日(火)よりエントリー受付を開始します。
「Water 2040 Fund -分散型水循環システム導入ファンド-」特設サイト

〈日本の水インフラを取り巻く課題と政策的潮流〉
日本の上下水道は、長年にわたり極めて高い水準のサービスを維持し、飲用可能な水を総人口の98%以上に安定供給するとともに、排水処理を通じて公衆衛生の向上に大きく貢献してきました。一方で、現在は急速な人口減少と施設の老朽化が重なり、特に過疎地域・山間部・島嶼部の自治体を中心に、上下水道インフラの維持・更新が構造的に困難な状況に直面しています。

水道管の更新費用は全国平均で1kmあたり約1〜2億円に上り、資材費や人件費の上昇を背景に今後も高騰が続くと見込まれます。実際、2020年度から2024年度にかけて全国平均で2割程度上昇しており(※1)、例えば大阪市では計画費用の2倍に達する事例も報告されています。また、2024年に総務省が実施した調査では、全国の自治体の約6割が「耐震化が遅れている」と回答し、その多くが財源不足を理由に挙げています。こうした財政制約により、必要な更新が先送りされ、水道管更新の遅延や老朽化した管路の破損や漏水のリスクが顕在化し、料金の値上げやサービス縮小などの判断を迫られる自治体が増えています。このように、上下水道インフラの持続可能性は深刻な転換点を迎えています。
※1 出典:国土交通省 水管理・国土保全局 水道事業課 「水道事業の再構築に関する施設更新費用算定の手引き(令和7年3月)」における口径150mm以下の更新費用、国土交通省「建設工事費デフレーター」

こうした状況を受け、2025年6月に閣議決定された政府の「経済財政運営と改革の基本方針2025~『今日より明日はよくなる』と実感できる社会へ~」(骨太方針2025)では、「上下水道の分散型システムの早期実用化」が明記されました。さらに、国土交通省の「上下水道政策の基本的なあり方検討会」では、集約型と分散型を適切に組み合わせた「ベストミックス型の仕組みづくり」が議論され、同年策定予定の「第一次国土強靱化実施中期計画(令和7年)」にも、自立分散型インフラへの転換が明示されています。
従来の集約型インフラは、人口密度が低い地域ほど1人あたりのコストが上昇する構造的課題を抱えており、人口減少社会では持続可能性に限界があります。また、災害の頻発により、広域配管網に依存する現在のシステムの脆弱性も顕在化しています。
このような状況を受けて、地域の人口規模や地理条件に応じて、集約型と分散型を最適に組み合わせる「ベストミックス型」の水インフラの再構築が求められています。

〈WOTAの分散型水循環システム〉
WOTAは、こうした上下水道財政の構造的課題に対する新たな選択肢として、世界初(※2)の家庭用水循環システム「WOTA Unit(ウォータ・ユニット)」を開発しています。

「WOTA Unit」は、住宅の浴室・キッチン・洗濯などの生活排水の最大97%(※3)を安全な水に再生し、上下水道に接続せずに水を循環利用できる、分散型水循環システムです。不足分は雨水などで補う設計であり、既存の上下水道インフラの有無に関わらず、地域の事情に応じた柔軟な導入が可能です。
※2:① 家庭用の小規模分散型システムにおいて②シャワー、手洗いその他、人が触れる水としての用途を含む生活用水について③ 90%以上の水再生率を達成した水循環システムであり④ WHOの飲用水基準に適合し、かつ日本の水道水質51項目を満足する、⑤ 量産を前提としたシステムとして、世界初
※3:再生率はご利用環境や水の利用方法によって異なる場合がございます。

本システムは、①飲用水ユニット、②生活用水ユニット、③トイレ用水ユニットの3系統から構成され、地域や施設の特性に応じて以下のような組み合わせが可能です。
・Aパターン:飲用水+生活用水+トイレ用水
・Bパターン:生活用水+トイレ用水
・Cパターン:生活用水+浄化槽(トイレは浄化槽を活用)
※飲用水ユニットはウォーターサーバーやペットボトル水等による供給が可能。また雨水を用いた飲用水供給システムも開発中です。
※WOTAの分散型水循環システムは、「国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」の「ディープテック・スタートアップ支援基金/ディープテック・スタートアップ支援事業」、および内閣府・経済産業省による「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIR)」の支援を受け、量産開発および社会実装に向けた検証を進めています。2025年には、技術成熟度(TRL:Technology Readiness Level)評価において「TRL6」を通過し、現在は実環境下でのシステム実証を行う「TRL7」段階に進んでいます。

〈「Water 2040 Fund -分散型水循環システム導入ファンド-」始動〉
分散型水循環システムは、上下水道の維持・更新の構造課題を持つ地域における現実的かつ柔軟な解決策として注目を集めています。しかしながら、導入にあたっては、専門人材の不足や財源の制約など、地方自治体においては実務上のハードルが存在します。


こうした状況を踏まえ、WOTAは関係金融機関・地域企業と連携し、『Water 2040 Fund – 分散型水循環システム導入ファンド -』を創設します。
本ファンドでは、民間ファイナンスを活用した財政負担の平準化に加え、WOTA独自の分析ツールを用いた計画策定支援や、導入後の運用管理体制の構築支援まで、一貫した伴走型の支援を提供します。さらに、地域パートナーとの共創やDXの活用により、分散型システムの導入運用の一連のプロセスをご支援します。


本ファンドは総額100億円規模での創設を予定しており、支援対象となる自治体には限りがあります。ご関心をお持ちの自治体の皆様には、説明会または個別相談会へのご参加を受け付けております。

〈エントリーまでの流れ〉
WOTAでは「Water 2040 Fund」を活用した分散型水循環システムの導入のサポートに関するエントリーを受け付けています(2025年9月30日締切)。エントリーにあたっては、①オンライン説明会(任意)、②オンライン個別相談会(必須)、③非拘束式エントリーという3ステップをご案内しています。
◾️エントリーまでの3ステップ
Step 1:オンライン説明会(任意)
本ファンドの概要や支援内容に関するオンライン説明会を開催いたします。まずは概要を把握したいという自治体様におすすめです。概要の説明が不要の方については、このステップを省略いただくことが可能です。
・開催日程:7月23日(水)、7月30日(水)、8月6日(水)
・時間:14:00〜15:00
・形式:オンライン(事前申込制)
お申し込みはこちら
URL:https://water-2040-fund.wota.co.jp/form/2040-program/
問い合わせ先:water_2040_fund@wota.co.jp
Step 2:オンライン個別相談会(必須)
エントリーをご希望の自治体様には、WOTAより、自治体様内の課題地域を500mメッシュで可視化した「マッピングシミュレーション(無償)」をご共有し、それをもとに課題整理や候補地域の検討、導入可能性の初期協議を行います。
Step 3:エントリー(2025年9月30日締切、非拘束式)
「Water 2040 Fund」を活用した分散型水循環システム導入のサポートを希望される自治体様からのエントリーを受け付けます。
※導入検討は無償ですが、先着順となりますのでご留意ください。
※他の財源活用によりファイナンスが不要な自治体様にも、エントリーにより計画策定の支援をご提供します。
〈持続可能な水インフラを、次の世代へ〉
WOTAは、上下水道インフラの維持が困難となっている地域から優先的に取り組みを進め、分散型水循環システムの段階的な導入と社会実装を進めてきました。今回の『Water 2040 Fund』の創設により、上下水道の分散型システムの早期実用化へと本格的に移行します。
今後は、地域の課題や条件に即した柔軟な導入を重ねながら、集約型と分散型のベストミックス型インフラの標準モデルの確立を目指します。WOTAは、2040年までに上下水道インフラの財政健全化と持続可能な水インフラの実現に貢献すべく、現場に根ざした支援と技術革新を推進していきます。

〈自治体・企業からのコメント〉
■広島県 竹原市長 今榮 敏彦 様
竹原市は豊かな自然に囲まれた魅力あるまちですが、人口減少とともにインフラ維持への課題も年々大きくなっています。特に上下水道インフラは市民生活の基盤であり、これを持続可能な形で次世代へとつなぐことが自治体の責務です。WOTAの革新的な挑戦とともに、市民一人ひとりが安心して暮らせる地域づくりを進めてまいります。
■石川県 珠洲市長 泉谷 満寿裕 様、副市長 金田 直之 様
能登半島地震から約1年半、奥能登豪雨から約10か月が経過し、市民の皆様と「新たなまちのかたち」について議論を重ね、復興住宅や道路、河川、上下水道の本格復旧に向けた取組を進めています。
WOTA様には発災直後から、水循環システムの提供をはじめ、高い技術力と迅速な実践力で甚大な被害を受けた珠洲を支えていただきました。
今後もWOTA様をはじめ、多様な分野の力を結集し、アートや先端技術を取り入れた「魅力ある最先端の復興」を必ずや成し遂げてまいります。
■三菱UFJ信託銀行株式会社 法人マーケット統括部 副部長 鶴岡 秀規様
当社は、社会課題を起点に新たな価値を創出することを企業の使命としています。
今回、上下水道という人々の生活基盤を支える重要なテーマに対して、WOTAの取り組みは極めて意義深いものと受け止めています。
出資にとどまらず、地域への導入を加速するためのファイナンス支援を含め、実装フェーズにおいても連携を強化し、全国的な水課題の解決に向けて取り組んでまいります。
■EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 インフラストラクチャー・アドバイザリーリーダー 福田 健一郎様
日本の上下水道インフラは、人口減少、老朽化、財政制約、人材不足といった複合的な課題に直面しており、特に過疎地域では従来型の仕組みの維持が困難になりつつあります。いま求められているのは、分散化を含む多様な選択肢と技術革新を視野に入れた、抜本的な再構築です。持続可能な社会インフラの実現に向けては、技術だけでなく制度設計や現場実装までを一体として捉えた取り組みが不可欠です。
【WOTA株式会社について】
WOTA は、水問題の構造的な解決を目指す⺠間企業です。2014 年の創業以来、地球上の水資源の偏在・枯渇・汚染によって生じる諸問題の解決のため、生活排水を再生し最大限有効活用する「分散型水循環システム」およびそれを実現する「水処理自律制御技術」を開発しています。既に、2 つの製品を上市し、災害時の断水状況下における応急的な水利用の実現や、公衆衛生の向上に寄与して参りました。また、日常的な水利用を実現する「家庭用水循環システム」を開発し、国内外の一部地域での給水を開始しています。
詳細はこちら https://wota.co.jp