株式会社日光商事
日本初“防災特化型店舗”の誕生、娯楽施設のあり方が変わる
非常時でも、温かいシャワーで市民がほっとできる避難所を
中国・四国エリアでパチンコホール「nikko」を展開する株式会社日光商事グループでは、岡山市泉田にオープンした新店舗を有事の際に地域住民が利用できる防災特化型店舗として設計。防災設備としてWOTAのポータブル水再生プラント「WOTA BOX」を採用し、平時・有事の両シーンでの活用を予定しています。インフラ機能が失われた際も地域全体で連携し助け合うことを目的とした本プロジェクトの取り組み内容や考え方、そして「WOTA BOX」だからこそ実現できる地域とのつながりについて、同社の代表取締役 川井 祐介さん、常務取締役 大石 佳奈さんにお話を伺いました。
被災時に200人の人々が3日間生活できる「防災特化型店舗」とは
ー地震や豪雨による水害など、有事の際に地域住民が防災拠点として利用できるという、新店舗のことを教えてください。
川井(代表取締役):岡山市泉田にオープンした新店舗は、災害発生から自衛隊など外部支援が見込めるまでの見込み時間、72時間(3日間)を200人が生活できる設備を整えます。朝昼晩の食事やトイレはもちろん、医療サービスを受けることができ、全ての人が24時間以内にシャワーを浴びることができます。1階のホールや休憩室を利用した滞在を考えていますが、水害により店舗の1階が冠水してしまった場合でも、立体駐車場を活用して3階以上で滞在することも可能です。
ー災害に強いまちづくりを目指す岡山市とは、この施設を災害時に避難拠点として活用してもらうための協定を締結したと伺いました。
ー今回、その中の防災設備としてWOTA BOXを複数台導入された背景を教えてください。
大石(常務取締役):避難所のシャワーに大切なことは、衛生的であることのほかに、気持ちの面で安心して使えることだと思っています。従来の避難所では、有事の際ですから男女関係なくシャワー等利用する場面もあったと思いますが、そういった面でなるべく配慮したいと考えております。WOTA BOXが複数台あることで、女性専用にしたり、子供と一緒に入れるファミリー用にするなど、使い分けることができます。私も女性なので、できれば男性の後に入るよりも女性の後に使いたいな、と思っていました。
有事の際は入浴を諦めるのも仕方がない気もしますが、ほんとうは、入浴できたら誰でもほっとするし、なんだか一気に安心できますよね。避難所のような非日常にあっても、明日も頑張ろうという活力が湧いてくると思います。
ー新店舗を防災拠点として活用するにあたり、岡山県における豪雨の経験が活きていると聞きました。
川井:2018年7月の豪雨の際は、弊社の店舗がある岡山県が水害の被害に遭いました。地域住民の方々が『家に帰るのが怖い』『パチンコは打ったことがないけれど、家で寝るのが怖いから立体駐車場を利用させてほしい』ということで、約500台の立体駐車場を無料開放しました。その日は立体駐車場が満車になり、夜も電気がついていて、まるで車のホテルのようでした。立体駐車場をご利用いただいたお客さまからは、安心したという声をいただき、こうした形で社会貢献できるんだと思いました。
嬉しかったのは、それまでパチンコ店の敷地に入ったことのなかった人が、お世話になったからパチンコに行こうかと店舗に足を運んでくださったことです。弊社の社会貢献から弊社のことを知ってもらい、店舗に来ていただくという理想の形でした。
普段はパチンコ店に接点のない方にも知ってほしい
ー地域のお店と、そこに普段は行かない人との繋がりが生まれた瞬間ですね。
川井:パチンコ店にはパチンコ台があり、お客さまがそれに触って楽しむという機能が基本ですが、お店に行くことで『元気がもらえる』とか『楽しい気持ちになれる』こうした期待に応えるのがエンターテインメントじゃないかと私は考えています。しかし、『楽しい』と思ってもらえる前に『日光ってどんな会社なの?』『どういう事業をしているの?』という部分の浸透がないと、そもそもお店に来てもらえません。ですので、これまでもサッカークリニックの開催や地元新居浜市の観光名所を伝えるCMなどの社会貢献を通して地域の人とのつながりを持ち、弊社のことを知っていただく活動を行ってきました。
大石:私共としては、地域の方々のお役に立ちたい一心で今回の新店舗のコンセプト決定やWOTA BOXの導入に至りました。ですから、それが普段パチンコ店を利用されない方にも知っていただけるようなきっかけになってほしいと心から願っています。
ー先日、新店舗のお披露目会と避難訓練が行われ、地域住民の方が100人近く集まりました。「避難所でも温かいシャワーが浴びられるのはいいね」「学校や市役所など、地域の他の避難所にも広まってほしい」など、嬉しいお声もいただきました。
ー近年のコロナ禍を経て、お店にはどのような変化がありましたか。
川井:新型コロナウイルス感染症の感染拡大により全国のパチンコ店に休業要請が出る中、営業を続けた一部の店舗には批判の声が集まりました。あれはごく一握りのお店であって、全国の99.5%のお店は各地方自治体の要請に応じて休業していたのですが、一部のことを全体かのように報道されたことで、パチンコ業界全体が大きな影響を受けました。業界全体がマイナスイメージに包まれ、従業員やその家族からも『パチンコ店は大丈夫か』と不安の声が上がる中で、私は従業員やその家族に弊社で働く誇りをどう与えてやれるだろうかと考えはじめました。
ー社会全体が大きく揺れる中、何ができるのか考えて生まれたアイディアが「防災拠点としてのパチンコ店」なのですね。
川井:岡山県での水害の時に立体駐車場を利用していただき、皆さんに喜んでいただいたように、従業員、地域のための店舗と考えたときに出た答えが防災特化型の店舗としての在り方でした。もちろん平常時に店舗に興味を持ってもらえるのはパチンコをする数%の人だけかもしれませんが、店舗が防災拠点になるのであれば、万が一大きな地震や水害などの災害があった場合に100%の人に必要不可欠な施設になります。
WOTA BOXの技術に「ほんとにそんなことできるの?」と思った
ー初めて「WOTA BOX」をご覧いただいた際は、どんな印象を受けましたか。
大石:導入を検討していた際、弊社に「WOTA BOX」の実物を持ち込んでデモを実施いただいたのですが、はじめの印象は、少しのお水で綺麗なシャワーとして何度も循環利用できる技術がとにかくすごいと思いました。一番印象的だったのは、最初に入れるお水の量がたった100Lでいいということです。いざ見てみると、こんなに少なくていいんだと驚きました。
川井:一度使用した水を循環させて再利用するなんて「本当にそんなことができるの?」と最初は信じがたかったです。しかし、シャンプーの混ざった液体が濾過されて繰り返し使えるようになる様子を見て「これしかない」と感動しました。有事の際に、限られた水をシャワーに使うというのはありえないと思っていました。ですが、水を再利用できるのであれば、衛生面から考えても使わない手はないと思いました。
ー有事の際以外にも使えないかと考えていただいたそうですね。
川井:防災拠点は非常時に役立つものなので、そういう日が来ないことが幸せなんですが、有事でなければ「WOTA BOX」をずっと倉庫に入れておくべきなのか…?と考えました。そんな時に、WOTAさんから平時にも利用できる事例を教えていただきました。例えば河川敷で「WOTA BOX」を使って、子供たちが夏の暑い日にサッカーの大会をするとか、マラソン大会をした際にシャワーを浴びて帰れるようになるのではと思いついたのです。
弊社の店舗に子供たちや保護者の方が使用申請をして「WOTA BOX」を取りに来ていただいて貸し出す。それであれば、平時の際も使えて社会貢献ができるなと思いました。「WOTA BOX」のテントに弊社のロゴを入れることで、弊社のことを地域の方々に店舗以外の場所で知っていただける、これも非常にメリットだと思いました。
ー今後に対して期待することはありますか。
川井:今回の「WOTA BOX」導入の取り組みを世の中に発信していくことで、市民の方も「こんな風に使いたい」と反応してくれると思うので、そんな声にどんどん応えていきたいです。パチンコ店はお客さまを喜ばせる業界であり、地域の方々と一緒に世の中をよくしていく力があると思っています。今回の社会貢献を通じて、弊社の取組みやWOTAさんの素晴らしい技術・驚きをどんどん発信し、多くの方に知っていただきたいです。
関連リンク
・参考: ソフトバンクビジネスブログ「Future Stride」
・店舗設計/防災設備提案: 株式会社メガクリエイト
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